18歳成人と労働契約

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いよいよ、民法大改正で成人年齢が18歳になるまで、1箇月となりました。

世間では、カードローンとか消費者トラブルとかでまだまだ幼いとか過保護な論調が出回っていますが、コンビニ業界や小売外食などでも早速未成年の定義がかわるので18歳、19歳の労働契約には親の承諾書が不要にするという当然な対応をとるところが増えているとのこと。そもそも成人には成年後見人などが付かない限り「保護者」は存在しないので、そこで保護者の同意を求めるというのもおかしな話。

しかし、昔は中卒の15歳で働き始めるのも当然だったので、そのころから存在する労働基準法では最近の人よりも若年労働者の労働契約についての規定はきちんと整備されてはいました。労働契約は親が勝手に契約して子供を働かせたりするのは禁止(労働基準法58条)ですし、また保護者が勝手に子供の給料を取り上げたりできないような規定(同24条1項)もちゃんと整備されています。

それから、労働基準法の労働者保護規定の関係でいえば、深夜業の禁止(同61条1項)、危険有害業務の就業制限(同62条1項、2項)、坑内労働の禁止(同63条)、帰郷旅費の使用者負担規定(同64条)とこれらすべて18歳未満を対象としているので、労働法制の分野ではかなり以前から18歳以上を成人扱いとしています。また18歳でも15歳でも会社に勤めれば厚生年金の被保険者になり、不幸にも大けがして障害者になっても障害年金であれば未成年者でも支給され、同時に国民年金も20歳未満でも20歳に達した以降は支給されます。

さて、18歳未満の場合、従来通りアルバイトをする労働契約を締結するのも原則自由ですが、後で不利な契約内容であることを理由に、親権者が取り消すことが可能です。普通取り消しと法律用語でいえば契約当初までさかのぼって無効になるのですが、この場合は将来に向かって(労働基準法58条2項)のみ取り消し効力はありますので、それまで働いた分の給料も当然にもらえる権利は残っています。
そしてその取り消しができるのが今般20歳未満から18歳未満になり、18歳以降は当然本人が労働契約も自由に締結できるし、解除も同じくで、その場合の交渉も自分でしなければなりません。

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